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満潮時や低波高で課題が・・・

これまでに実用化されている海水交換型防波堤は、孔付き防波堤の港外側に潜堤を設け、潜堤によって波を強制的に砕波させ、防波堤と潜堤との間にできた遊水部の水位上昇を利用して海水を流入させるものでした。しかし、潮位差が大きい地点では、満潮時に波が砕波されず、遊水部と港内に水位差が生じないことから海水流入量が減少するという課題がありました。（図1）

潮位差が大きい地点を対象に、より効率的な海水交換機能を有する「浮体式海水交換型防波堤」を開発、製作、納入しご好評をいただいております。

図2は、ケーソン一体型の「浮体式海水交換型防波堤」の構造を示したものです。ケーソン内部の潜堤上に設置する浮体構造物は、中空密閉構造のステンレス鋼製浮体とゴム膜で構成し、鋼製浮体の底部はヒンジ構造で傾動自在に動作します。鋼製浮体、ゴム膜、潜堤で囲まれた部分には緩衝室としての空隙があり、常に海水が満たされるようにしております。この浮体構造物の役割は次の通りです。

1. 鋼製浮体の頂部は、潮位変動に追随して常に水面上にあり、港外から侵入する波はこれに衝突して砕波し、遊水部へ流入します。
2. 直立堤で反射した海水は、浮上した鋼製浮体により遊水部から港外への流出が抑制され、遊水部の水位が上昇します。
3. 遊水部と港内において水位差が発生し、導水口部から港内に海水が静かに流入します。
4. 波の侵入や反射で鋼製浮体は揺動しますが、ゴム膜の空隙から緩衝室に流入した海水は、わずかな空隙のため出入りが抑制されクッションとなり、鋼製浮体の不要な振動は軽減されます。

1. 海水の導水量が倍増します。（図3）
2. 数十cmの小波浪時でも海水が効率よく導水できます。
3. 潮位変動の影響を受けません。