ダム・貯水池水質保全設備Dam, reservoir quality of the water maintenance facilities
連続式空気揚水筒 (アクアリフタ)
連続式空気揚水筒は、貯水池の上下対流が悪くなる時期に、大規模な上下対流を発生させ、貯水池全体を撹拌混合(全層循環)する装置です。
全層循環することにより、温度躍層形成の防止、藻類の異常発生を防ぎ、底層水の溶存酸素量を増加させることにより栄養塩類の溶出を抑制など、水質浄化に大きな効果が期待できます。
特長Feature
- 連続的に空気を散気することで効率よく循環や酸素の溶解を行い、低出力で、水域全体に大きな効果を与えます。
- 水中部や水面に駆動部がなく、簡単な構造で故障の心配がありません。水深20m、5.5kwのコンプレッサの時1台で約100,000 m3/日を循環することができます。
- 耐腐食性材料を使用しているため、長寿命です。
▲ 概要図 連続式空気揚水筒の効果と水の動き
構造と原理
連続式空気揚水筒は、表示ブイ、自立用フロート、揚水筒、シャープドコーン型散気口、送気管、チェーン、シンカーなどの部品で構成され、ダム貯水池に設置します。揚水筒吐出高さは、HWLの半分程度の位置になります。
- 地上の空気圧縮機(コンプレッサ)から圧縮空気をシャープドコーン型散気口へ送ります。
- 散気口から連続的に散気された圧縮空気は揚水筒内を上昇します。それに伴って、取水口から底層水を吸込み、酸素を溶解させながらエアリフトポンプ作用が働き水と空気は上昇します。
- 噴き上げられた水と空気は、水面に至り表層水と混合しながら大きく水平に拡がります。
- このプロセスを連続的に起こすことで、貯水池の水は全体にわたって上下循環(全層循環)します。
▲ 連続式空気揚水筒の構造図
効果
- 藻類異常増殖の抑制
連続的に底層水が表層に上昇し全層循環が起こります。このことで全層循環により、表層の藻類を光が届きにくい底層に送り込み、光合成を抑制し、死滅・減少させます。 - 底層水の水質改善
表層の酸素リッチな水が下降して、底層の嫌気化を防止します。底層を好気状態にすることで、鉄、マンガンなどの溶出を抑制すると共に、アンモニア、硫化水素などの発生も抑制します。 - 各層に発生する効果
浅層 | 寒冷地湖水面の凍結防止、異臭発生防止 淡水赤潮の発生防止、プランクトンの異常発生を抑制 |
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中間層〜底層 | 水温均一化、PH値の改善、無酸素層の消滅 温度躍層形成の防止、溶存酸素量の増加 |
底層 | リン、鉄、マンガンの溶出抑制 有機物の分解促進 |